人の身体はマトリョーシカ
私たちが生まれてから長いことつきあっているこの肉体。外側からみえる皮膚の下には真皮や皮下組織があり、その下には骨を動かす筋肉があります。身体中には血管がはりめぐらされ、骨によって全体が支えられ、たくさんの臓器によって身体全体の機能が維持されています。何とも、複雑で不思議のものですね。
しかし、人間の身体を構成しているのは、目に見える肉体だけではないとしたら、驚きですね。ヨガの身体論によれば、人間の身体は5層の鞘からなっているとされています。まるで、ロシアのマトリョーシカのよう。
いちばん外側にあるのが、私たちがいつもみなれている肉体。その内側にはさらに4つの鞘がひそんでいるのです。そこで、今日は、その一つ一つの正体を暴いていきたいと思います。
5つの鞘(パンチャ・コーシャ)とは
人間の身体を構成する5つの鞘のことを、パンチャ・コーシャといいます。鞘の外側から内側へといくほど、より精妙で複雑な働きをもっています。この肉体よりさらに複雑なものがあるんです!
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①いちばん外側にある鞘は、アンナ・マヤ・コーシャ(食物鞘)
これは、食べ物からなる鞘で肉体を意味します。ヨガのポーズの実践によってこの鞘に働きかけます。
②2番目にある鞘は、プラーナ・マヤ・コーシャ(生気鞘)
プラーナという生命エネルギーからなる鞘。ナーディというエネルギー経路が張り巡らされています。プラーナヤーマという呼吸法によってこの鞘に働きかけます。
③3番目にある鞘は、マノー・マヤ・コーシャ(意思鞘)
意識や心からなる鞘。感覚器官(眼・耳・鼻・舌・身)を通じて、感じたり思考したりする働きをつかさどります。プラティヤーハーラという感覚コントロール法(制感法)により、この鞘に働きかけます。
④4番目にある鞘は、ジニャーナ・マヤ・コーシャ(理智鞘)
智慧や理性よりなる鞘で、瞑想によってこの鞘に働きかけます。
⑤いちばん内側にあるのは、アーナンダ・マヤ・コーシャ(歓喜鞘)
歓喜、高次元の喜びよりなる鞘。この鞘に働きかけることで、ヨガの究極目標であるサマーディに到達します。
ヨガの実践は鞘の外側から内側へ
さて、人間の身体が5つの鞘から構成されるマトリョーシカ構造になっていることがわかりました。そこで、ヨガの実践においては、この鞘の外側から内側に向かって働きかけることになります。
アーサナ(坐法)→プラーナヤーマ(呼吸法)→プラティヤーハーラ(制感法)→瞑想→サマーディ(三昧)という流れです。
アーサナで肉体を強くて柔軟にし、プラーナヤーマで呼吸とともにエネルギーを体内に取り入れて循環させる。プラティヤーハーラで外からの刺激に対して感覚をコントロールしたら、心を一点に集中させて瞑想へと移行する。そしてついに、至高の境地へといたるヨガマジックの世界。うーん、なんだかワクワクしますね☺