老化は関節からやってくる

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過度な筋トレは必要か?

「筋力が低下してきたから、筋力強化をして下さい」
外出困難な方の機能回復訓練の現場で、必ずといっていいほど、このようなご要望を受けます。

しかし、年齢を重ねれば重ねるほど、負荷をかけた筋トレはあまりやりたくないのが本音。かろうじて10回位の運動を反復できる程の負荷(抵抗)をかけるトレーニングが、筋力増強効果があるといわれていますが、これはとてもつらいものです。

特にご高齢の方は、負荷をかけた運動はやる必要なし!
過度の筋トレより、軽い反復運動で関節の動きを良くすることが重要です。

関節の動きがよくなれば、わずかな力(筋出力)でも楽に身体を動かすことができるのです。

さび付いたネジを、力いっぱいスパナでまわして緩めるのと、潤滑油で軽くなったものをわずかな力で緩めるのと、どちらが効率的でしょうか?

関節のしくみ

関節とは、骨と骨とのつなぎ目です。

固い骨どうしがお互いにふれあって擦り減らないように、その表面は軟骨という水分を多量に含んだ柔らかい膜でおおわれています。これは、関節に衝撃が加わったときに受け止めるクッションの役割をもっています。

さらにその周りは、骨どうしが外れないように、靭帯と一緒に関節包という袋が関節全体を包み込んで、しっかりと補強しています。

関節包の内側にある滑膜からは、滑液という潤滑油が分泌されて、関節の動きをよくするとともに、関節内に栄養を送っています。

関節を正常に動かすためには様々なしくみが整えられているのです。それだけ、人体にとっては、大切な役割を果たしているからです。

関節を動かさないでいるとどうなるか?

関節を動かさないでいると、どうなるでしょうか?

ズバリいいます!
皮膚、骨格筋、関節包、靭帯といった関節周辺の軟部組織が固く線維化することで、関節が動かなくなります。これが関節拘縮です。関節拘縮が起こると、血液の流れが悪くなり、関節やその周囲さらには全身に十分な栄養が遅れなくなります。

関節を固定したまま2~3日で血流が悪くなり、軟部組織が変化し始めます。1か月間関節を動かさないでいると軟部組織が線維化し、2~3か月が過ぎると、骨と骨とのすき間がなくなり、骨どうしがつながってしまいます。これが強直です。こうなったら一大事。関節はもう、元には戻りません。

関節を動かさないでいると、関節と関節とをつないでいる筋肉も収縮しないため当然に固くなります。筋肉が固くなるとその間をはしっている血管や神経も固くなるため、身体に必要な栄養素が運ばれなくなったり、神経に痛みが出てきたりと、全身にわたり様々な障害が発生します。その結果、さらに関節を動かすことができなくなります。

まさに、悪循環のループに突入!
ここから抜け出すのには、相当の苦労を要します😲

元気な方にも関節運動は効果的

今現在、元気な方の場合も、いつまでも活動的でいる秘訣は関節にあり!

といっても過言ではありません。では、マシンを使ってパワー系のトレーニングをすればいいのでしょうか?

むしろ、重い重量を使った筋トレは、関節に負担をかけ、関節の表面の軟骨をすり減らしてしまうおそれがあるため、注意が必要です。

特に、筋肉系マッチョを目指すのでなければ、低負荷あるいは負荷をかけない状態で、関節をよく動かしてあげることで十分です。

関節をよく動かすことで、関節包の内側にある滑膜から潤滑液が分泌されてきますので、関節への衝撃を吸収して軟骨の消耗を防ぎます。

さらに、関節と関節をつなぐ筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことにより、筋ポンプ作用が働いて、筋の柔軟性が高まるだけでなく、全身に血液が運ばれて代謝が促進されます。筋肉の中に溜まった老廃物や疲労物質、痛み物質も流されます。

また、神経もほどよく伸ばされて刺激されるので、神経痛にも効果があります。

一日中、立ち仕事でふくらはぎが浮腫んだり、固くなっている人に、足関節の底背屈運動がすすめられるのはこのためです。

「ふくらはぎは第2の心臓!」
「筋ポンプを働かせて、下肢に溜まった間質液を心臓に戻しましょう!」

いろいろな雑誌やテレビ番組等でよく言われていますね☺

筋トレよりも筋ポンプ

私の場合、高齢者の方の機能回復訓練の場においては、関節リラクゼーションとモビライゼーションというテクニックで関節の動きをよくすることを第一としています。

無理な筋トレを行うことなく、今まで寝たきりであった方が、ベッドから起き上がれるようになったり、何とか歩けるようになったりすることもあります。

私自身が行っている、ヨガのポーズも、機械は一切使用せずに、ひたすらヨガマットの上で身体を捻ったり伸ばしたりの連続!

まさに、筋トレよりも関節の働きによる筋ポンプが重要なんです。
さあ、現在寝たきりの人も、元気な人も、毎日せっせと関節を動かしましょう!

外出困難な方が対象の、医療保険を使った訪問マッサージについても、お問合せを受け付けています。

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